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2020.03.25
口腔機能低下症とは加齢だけではなく、疾患や障害、薬の副作用などの要因により、口腔内の感覚、咀嚼、嚥下、唾液分泌などの機能が少しずつ低下してくる症状のことです。
オーラルフレイルと似ていますが、オーラルフレイルは病名ではなく状態であり、地域保健事業、介護予防で対応します。それをそのままにしておくと口腔機能低下症という病気に繋がっていきます。口腔機能低下症は歯科診療所での対応となります。
口腔機能低下症は以下の7項目の中から3つが該当していると口腔機能低下症と診断されます。

①口腔不潔

お口の中の細菌の数を調べたり、舌苔の量を確認して診断します。
唾液中の菌は1mlで約10億個以上と言われています。菌は唾液や歯についている汚れだけでなく、舌にもたくさんの菌がついています。
その結果唾液中の細菌の数が多くなり、誤嚥性肺炎や術後感染などを引き起こしてしまいます。

②口腔乾燥

唾液の出る量が少なくなったり、口呼吸などでお口が乾燥しているかどうかを調べます。
お口の中が乾燥すると、むし歯や歯周病になりやすくなり、また食べ物を食べる時に唾が少ないと、喉を通りにくくなってしまいます。

③咬合力低下

噛む力を測定する感圧シートというものを噛み、力を測定したり、揺れがない歯の本数で評価します。
かむ力が弱いと、循環器系疾患やガンの予防に重要な野菜や果物、ビタミンや食物繊維を摂取する量が少なくなるという報告があります。また、咬合力が低いと肥満の人が多いという報告もあります。

④舌口唇運動機能低下

「パパパパ….」「タタタタ….」「カカカカ….」と5秒間ずつ発音し、何回言えたかを測定します。それぞれ1秒間に6回以上正確に発音できていれば問題ありません。
唇や舌は食べる時や話す時に使っています。筋肉が衰えると食べるのに時間がかかったり、食べこぼしがあったり、飲み込むことがうまくできなくなります。

⑤低舌圧

舌圧測定器を使って、舌の力を測定します。
舌圧とは舌と口蓋(口の中の天井)や食べ物との間に発生する圧力のことを言います。
食事をする時には舌で歯に食べ物を運んでいます。歯だけで食べ物を噛んでいるだけでなく、上あごに舌を押し付け、すりつぶしたりもしています。飲み込む時には舌を上あごに押し付ける力が必要です。
低舌圧の人は低栄養になりやすく、食事の形態も刻み食などで調整しているものが多いということがわかりました。

⑥咀嚼能率

専用のグミゼリーを噛み、どれだけ細かくできたかで評価します。
加齢や健康状態、口の中の環境により、食べこぼしや嚥下時のむせ、噛めない食品がだんだん増え、食欲の低下や食品多様性が低下します。
咀嚼機能低下とは、これがさらに悪化した状態のことであり、かむ力や舌の運動能力が低下し、結果的に低栄養代謝量の低下を起こしてしまいます。

⑦嚥下機能低下

日常生活や普段の食事に関する聞き取りによって、嚥下機能に問題がないかを調査します。
加齢による摂取嚥下機能の低下が始まり、あきらかな障害を呈する前段階での機能不全を有する状態です。
全身の健康はお口の機能が深く関与しています
お口を清潔に保つことやお口の機能を保つことは、身体全身の健康に影響を与えます。お口の機能を理解し、健康寿命を延ばしましょう。

お口の些細な衰えを見過ごしていると…

口腔機能障害(摂食嚥下障害・咀嚼機能不全)を引き起こし、専門的な治療や介護が必要になってしまいます。 虫歯・歯周病・口臭などお口の健康のみならず、低栄養・脱水・筋力低下・免疫力低下・誤嚥性肺炎・脳神経機能の低下など、全身への影響や、滑舌・表情・意欲低下による人とのコミュニケーションにも影響します。

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